待望の文庫、2019年 |
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ナイジェリアの作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの短篇集『なにかが首のまわりに/The Thing Around Your Neck』がロンドンの Fourth Estate から出版された。(表題作は最初「アメリカにいる、きみ/You in America」というタイトルで発表された短篇で大幅に加筆されている。)
新たに加わったその6篇とは、ナイジェリアを舞台にした「セル・ワン」「明日は遠すぎて」「がんこな歴史家」の3篇と、米国へ移民した人たちを描いた「先週の月曜日に」「震え」(新作)、南アフリカで開かれた作家会議を皮肉った「ジャンピング・モンキー・ヒル」だ。
アディーチェは2008年10月に、なんと50万米ドルものマッカーサー奨励金を獲得して、書くことに専念できるようになった。当時、イェール大学でアフリカ学の修士号を準備中だったが、アカデミズム内の「アフリカを見るステレオタイプの視線」に強く反発するこの作家、それを次の本のテーマにするかもしれない、とあるインタビューで語ったりしている。
ナイジェリア国内での活動もめざましく、今夏もまた若手作家を育てるワークショックを開催する予定だ。すでにスポンサーも決定したそうだ。
一方、ネルソン・マンデラやパウロ・コエーリョなど著名人が名をつらねる「教育のためのグローバル・キャンペーン」にも積極的に参加し、そのための短篇「チナサ/CHINASA」を発表、これはネット上で読める。
ビアフラ戦争を扱った長編『半分のぼった黄色い太陽』を訳しながら、あちこちに出没する31歳の若い作家から目が離せずにいる──と書いてから10年がすぎたなあ。
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元記事は2009.5.17にアップした、北海道新聞2009年4月28日付夕刊掲載の「世界文学・文化アラカルト──世界を駆けるアディーチェ」で、短篇タイトルなどを文庫化に合わせて変えてあります。